穢土の七丘 [ニュースレター:二月号] / by kaz yoneda

2022年の幕開け、リフレッシュする手段は人それぞれですが、私は毎年恒例となった東京の聖地を巡礼し、いろいろな土地をランニングして回りました。はじめは北へ、南へ、そして東へ、9つの神社と5つの寺院を結ぶ旅路をいき、数え切れないほどの小さな聖域を通り過ぎました。正直に言って、これは単なる新年の僥倖を祈るための巡礼ではありませんでした。むしろ、東京について書かれた仮説を検証し、身をもって体験するための、一種の主観的、身体的、観察的な方法です。都市への愛情から生まれる所作であり、過去の暗黙でありながら明白な歴史が、今日の都市の本質を形成しているという考えに基づいています。もし私たちが未来を形作るのであれば、現在の場所の形成に影響を与えている過去の歴史を正確に理解する必要があるでしょう。

国土地理院, 東京都区部とその周辺(技術資料D1-No.860), 2016

地層を直接体験すること、つまり地層のアーティキュレーションは、リアルであると同時に唯一無二であり、都市に対する想像力をかきたてられます。例えば、徒歩で起伏を物理的に感じることは、陣内秀信の『東京の空間人類学』を思い起こさせます。この本の中では、ローマの7つの丘と東京の台地とが併置されています。古代ローマのセルウィウス城壁内にある7つの丘が、7つの台地(上野、本郷、小石川目白、牛込、四谷麹町、浅草麻布、芝白金)へと類推され、渦巻く総構えの中にあります。もちろん、これらは相対的な地形の捉え方であり、驚くほど平坦な関東地方の広大な氾濫原の上にそびえ立っています。

ジャンバティスタ・ノリ, ローマの大図, 1748

ローマ帝国では、宮殿、神殿、バシリカなどの皇帝による広大な施設があり、後にカトリックの荘厳なバシリカ式聖堂など、様々な用途に転用されました。これらは公共的な役割を明確に持っていたので、民衆が目にすることができました。こうした事柄が、18世紀のジャンバティスタ・ノリの地図に見られるような、都市の内部回廊の遺伝子を生み出す素地となっています。一方、東京の区画は、ビザンティンのモザイク画よりも複雑な、S・M・L・XLの有機的なパッチで構成されており、武家屋敷として階層毎に割り当てられていました。家主である大名が気まぐれや慈善事業的に、限られた機会に、門戸を開放することはあったが、ごく少数の例外を除いては、徹底的にプライベートな空間でした(尾張藩下屋敷は、徳川光友によって戸山荘と呼ばれるようになり、現在も戸山公園として残っているが、太平洋戦争中の暗い歴史はあまり知られていない)。また、上野は寛永寺、芝は増上寺と、幕府が設立した広大な寺院群に占められていました。権力者が直接庇護したこれらの寺院は、タイモン・スクリーチが「不在の図像学」と呼んだものにふさわしく、「畏れ」の対象であり、畏怖され、崇拝され、同時に遠ざけられる存在であり、そのため大衆にとっては近づきがたい場所でした。1873年の太政官布告第16号によって、日本で最初の公立公園が上野寛永寺の境内に設置され、後に1956年に都市公園法として成文化されたのは、おそらく意図的なものであったのでしょう。封建時代のレガシーにまごうことなき否定を突きつけたのです。

今日に至るまで、代々木、駒場、内藤新宿などの台地は、国民人口が減少する一方で規模を拡大する首都圏に統合され、飲み込まれた台地の数は増え続けています。そして新型コロナウィルスをきっかけに、仕事の都合で短期間滞在する東京の拠点と、緑豊かな自然に囲まれた安定した自宅の二拠点生活を送るホワイトカラー・エリートが地方へ「流出」しています。軽井沢のように、車や新幹線、快速特急で1時間で行ける場所が憧れの地となり、ちょっとした不動産バブルが巻き起こっています。このような牧歌的な拠点が、地理的な近さではなく、都会的なライフスタイルや文化を取り入れながら徐々に首都圏の一部になっていくかどうかは、時間を経ればわかってくるでしょう。

「地層を構成する分節は、いつも二重の分節作用(二重の挟み)である。それはまさに一つの内容と一つの表現を分節するのだ。そして形式と実質は現実に区別されるものではないが、内容と表現は現実に区別されるのである。」
──ジル・ドゥルーズ、フェリックス・ガタリ『千のプラトー』584ページ

やがて東京に7つもの「山」ができるかもしれません。

もうひとつのレベルでは、目に見えないけれども実にリアルな地形、つまり深層の風景が存在します。デジタル時代の純粋なコンテンツ(内容)と表現が、不気味なまでに現実に迫っています。来月は、建築や都市のデザインに大きな影響を与える、この「深層の風景」に迫ってみたいと思います。

東洋経済新報社, 全国「公示地価」最新価格・過去比較3Dマップ
典拠: https://toyokeizai.net/sp/visual/tko/landprices3/

執筆(英文):カズ・ヨネダ
編集:出原 日向子
アソシエイト:黒澤 知香

/////////////////////////////////////////

お付き合いいただきありがとうございました。

それでは、次回をお楽しみに!