寄留の所要: ラオス [ニュースレター:2023年十一月号] / by kaz yoneda

プーシーの丘からのメコン川と夕日(写真: 作者提供)

「メコン川のほとりで」by 中村 有希

ワット・シェントーン、仏像(写真: 作者提供)

ルアンパバーンへ
ハノイから飛行機で1時間、ルアンパバーンはメコン川とカーン川の合流地点に位置し、現在のラオスの基礎となるランサーン王国の都として13世紀終わり頃から約600年続き、80近くもの寺院が建設された古都です。現在も仏教文化が色濃く残ると同時に、19〜20世紀にかけてフランスの保護領だった時代に建設された洋風建築が溶け合った、異文化が混在する街でもあります。

この場所で、8日間、ワーケーションの大半の時間を過ごしました。以前から訪れてみたかったことに加え、私がワーケーションの地に求めていた「作業環境の確保、時差、移動時間、治安、街のサイズ感」のバランス、食事や散歩などONとOFFのサイクルを小刻みに切り替えられる場所(もちろん想像を超える誤算が多々ありましたが)に重点を置き、この場所をワーケーションの地に決めました。

ワット・ヴィスンナラート、仏像(写真: 作者提供

機織りのワークショップ(写真: 作者提供)

Ock Pop Tok「東と西の出会い」
ルアンパバーン中心地からトゥクトゥクで15分程度のメコン川沿いにある工房Ock Pop Tokは、ラオス語で「東と西の出会い East Meets West」を意味し、2000年にイギリス人女性とラオス人女性が設立したテキスタイルを主とした工房です。織物の文化的・芸術的価値を広め仕事としての経済的価値を高めることを目的として設立されました。

絹織物、天然染料、ろうけつ染め、竹細工などの工房、工芸品を購入できるショップ、カフェが併設され、メコン川のほとりでゆったりとした時間を過ごすことができます。

作者の織物(作者提供)

私はそこで機織りのワークショップに参加しました。初めての機織り体験でしたが、朝から夕方までかけて職人の先生のサポートの元、ストールを完成させることができました。

ラオス料理
ワーケーション中、食事は楽しみのひとつでもありました。ラオス料理は主食であるお米は長粒米かもち米で、刺激は控えめなため日本人の口にもよく合うと言われています。またレモングラス、バジル、ミントなどの香草類・ライムを多用し、さっぱりとした味付けの料理も多く、蒸し暑い気候でも食欲を掻き立たせます。

朝のポーシー市場(写真: 作者提供)

米粉・タピオカ粉でできたうどんのような太麺をスープ、豚肉、揚げニンニクとたっぷりのハーブをトッピングして食べるカオピャクセンは忘れられない味のひとつです。

料理教室の風景(作者提供)

休日にはラオス料理レストランが主催する料理教室に参加しました。朝市場で野菜、魚、肉、乾物屋、米屋のエリアをまわり、現地の食材を学ぶところから始まり、その後市街地から30分ほどのジャングルの中にある屋外キッチンに移動します。炭火やすり鉢を使った伝統的な手法で、前菜からデザートまで5品を大自然の中和気あいあいした雰囲気で作りました。


ワーケーションを終えて
どこか日常ではない場所に行く、滞在する言葉として、旅行、出張、駐在、帰省、留学があります。それぞれの言葉には輪郭があり、何をするか共通認識を持っています。新しい造語であるワーケーションとなった途端、どこで何をすることなのか、私にとっての輪郭はぼんやりとしていました。旅行よりは制約があり、出張よりは自由。自分にとってのワーケーションを計画することは、普段の東京での仕事環境、食生活、オンオフの切り替えとは違う組み立て方を試せ、同時に向き合う機会でした。限られた期間、異文化の中でのその経験はとてもめりはりがあり、想像以上にリフレッシュでき、それが帰国してからの一番の驚きになりました。次にまた機会があるとしたらどんな土地でどんな過ごし方をしたいかを帰国早々想像します。それは日々の時間の過ごし方を見つめ直すことにもつながっています。

散歩道からのメコン川(写真: 作者提供)

執筆:中村 有希
監修:キャズ・T・ヨネダ
編集:出原 日向子

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