Bureauの展望と抱負 [ニュースレター:一月号] / by kaz yoneda

~謹賀新年~
新年あけましておめでとうございます。
昨年は格別の御厚情を賜り、厚く御礼を申し上げます。 
皆様のご健勝と貴社の益々のご発展を心よりお祈りいたします。 
本年も、より一層のご支援を賜りますよう、Bureau一同心よりお願い申し上げます。

新年ゆえの期待と希望に満ちた時空を迎えましたので、今年の抱負をいくつかご紹介できればと思います。
ビューローでは、今年、2つのプロジェクトを完了させる予定です。

長野県山間部の住宅

長野県の山間部におよそ500平米の住宅を建設中です。ヒノキの構造体と銅の外装材でできた、環境に配慮した最先端の住宅で、エネルギーはすべて水力発電で賄い、ガスは調理用と停電時のバックアップ発電にのみ使用する環境への負荷を最小限押さえた高機能設備とする予定です。計画地は数メートルの積雪、ホワイトアウトがあるような豪雪地帯であるため、リダンダンシーやバックアップの体制を十分に取ることが重要です。そのためトリプルガラス、屋根はR10、壁はR9(Rは熱抵抗値を指す)の木質系天然断熱材を使用し、外的環境が氷点下になっても耐えうる設備を備えました。

冬眠中の長野の建設現場

和・洋、ローテク・ハイテクといった二元論を超えて、現代的で環境に配慮した新しい建築に昇華させるために、技術や素材に対する経験則、そして職人の知恵を結集させました。

もう一件、高山地での建築プロジェクトとして、新潟県妙高市に350平米の集合住宅を計画しています。このプロジェクトは、ユニークな屋根形状が特徴です。妙高市も豪雪地帯で、これまでとは違った雪対策を試みました。積雪後屋根に雪を残した場合、構造体にかかる荷重が明らかに増加するため、それに耐えうる部材は堅牢で巨大になってしまいます。そこで、屋根に45度以上の傾斜をつけ雪を自力で払い落とし、構造体への負担を軽減することにしました。また、屋根を分節することで三角形の頂部にずれが生まれ、様々な居住空間に自然光を取り込む高窓になります。垂直面(屋根)と水平面(バルコニー)両方での分節は、この地域で典型的に見られるマッシブな形態の建物を分解し、雪に覆われた厳しい環境下でも、プログラム、熱、光など様々な質を持つ空間を形作っています。

新潟県妙高市の集合住宅

もちろん、雪がない地域でのプロジェクトも大歓迎で、実際に現在計画中です。2022年には、東京都心から西日本にかけてのプロジェクトを展開する予定です。それぞれのプロジェクトを固有なものとしてデザインし、様々な協力者から学び、新しいものを生み出していくのが待ちきれません。また、今年は国内外のコンペティションに参加し、願わくば実施まで進みたいと考えています。さらに、長年の夢である海外でのプロジェクト立ち上げも目標です。前回の海外プロジェクトは、2013年に行った「シカゴ・ラボラトリィ」で、ルイス・サリバンが設計した旧カーソン・ピリー・スコット・ビル内の1000平米のギャラリースペースを舞台にしたものでした。

今年は、完成予定のプロジェクト、進行中のプロジェクト、そして実験と思索の機会がいくつかあり、多忙で生産的な一年になりそうです。しかし、これらのことを可能にするのは「人」であることを、私たちは何度も思い知らされています。良いメンバー、良いクライアント、良いコラボレーター。彼らこそ、新大なことを実現するための重要な夢想家であり、当事者です。そのため、今回の抱負では、知的探求、成長、能力の向上に不可欠な存在として、1-2名の新メンバーをビューローに招聘する可能性を見据えています。

何かを企てている様子

ビューローは、このような夢物語を臆面もなくよく通る大声で口外していくのが好きです。夢物語は、いつか現実のものとなるかもしれません。実現のためにはたゆまぬ努力はもちろんのこと、日本では「言霊」があると信じられているように、繰り返し口に出せば自己暗示のような効果があるかもしれません。今年がみんなにとって、健康で、創造的で、実りある一年でありますよう、祈ります。そして、この困難な時代を共に歩み、共に支え合えることができますように。

お付き合いいただきありがとうございました。
それでは、次回から毎月お届けするオリジナルのコンテンツをお楽しみに!

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執筆(英文):カズ・ヨネダ
編集:出原 日向子
アソシエイト:黒澤 知香