ビューロー回想録 [ニュースレター:十一月号] / by kaz yoneda

今月のニュースレターは、いつものエッセイやゲストからの寄稿、建築・都市・デザインの考察とは少し違います。それは、今年が目捲くるしく収束に向けてホリデーシーズンに突入しようとしているからでも、書くべきことが尽きたからでもありません。むしろ今月はBureau 0-1にとって、私個人にとっても特別な意味をもつ時期で、それをみなさんと共有したいと思いました。

今から7年前のこの月、“bureau0-1”は個人事業のデザイン事務所として、ワクワクしながらも不安な気持ちで独立という未知の領域に踏み出しました。加えて、Bureau0-1は法人化してまもなく5年目を迎えようとしています。そういうわけで、我々は常に未来に向けてのビジョンを描いていますが、霜月頃になると必然的に内省的な時間が訪れるのです。

2018より、法人としてのビューロー発足

Bureau0-1は、国境や社会の垣根にとらわれずに建築、都市、スペキュラティブ・デザインを想像し、創造するというビジョンを持って始まりました。 “bureau “という言葉には、「一卓の文机」と「一定の規模と影響力を持つ機構」の両義的な意味がありえます。この単語は我々がスタートした時に抱いた初心を忘れない謙虚さと、さまざまなスケールを超えて創造・想像したいという大志を思い起こさせます。また、この言葉には、文机から始まったプラクティスを最終的には、より広範な地域に影響を与えるものにしたいという意志が込められています。“0-1”は、無から有を生み出すことを意味しています。0という記号には、歴史や文脈に配慮しながら、これまでにない新しい原型を生み出すという思いが込められています。また、0-1には、建築を設計するかどうかにかかわらず、一人一人が各々の知的好奇心に導かれ、迷うことなく何でも追求したいという第三の意味も込められています。人は複雑で多様な存在であり、建築やデザインと同様に、それぞれの面がダイヤモンドのように絶えず磨かれるべきだと考えています。

アーキテクチャーという言葉は、これまでも、そしてこれからも、多面的な意味を持っています。それは一つの職業を示す言葉ではなく、文化、社会、芸術、工学、哲学などさまざまな分野を横断する考え方を指す世界観です。よりよい未来のために必要な社会的・文化的創造を提案するためには、新しい考え方、新しいアイデアが重要です。この目的を達成するために、我々はツァイトガイスト(時代精神)を分析すると同時にそれに挑み、出版から建築、研究と実践といったさまざまな形でマニフェストを発信しようとしています。

それが当初の意図であり、我々の基本的な価値観や姿勢は変わっていません。言うまでもなく、明快な指標を持たず、文字通り「ゼロ」から出発して、未踏の道をひたすら進んでいく長い旅です。振り返ってみると、未来型の物流センターロボットのデザインConvivial Futureのコラボレーション理論的思考の場であるこのニュースレターの開始など、一般的な建築的実践とは違う興味深い活動も楽しく、オープンに引き受けてきました。

しかし、正直なところ、我々はまだ何も成し遂げていないのではないでしょうか。このことは、客観的な省察と燃えるようなモチベーションのきっかけとなっています。この瞬間が、これからの数年間で、多種多様なことを考え、精力的に行動し、着実に結果を出すことを我々に課せるためのプロセスの始まりとなりますように。

2022年が間近に迫っていますが、我々はそれを力強く、そして渇望した状態で待ち望んでいます。いつも私たちを支えてくださってありがとうございます。Bureau 0-1から今後ともエキサイティングなニュースをお届けし続けますので、ご期待ください。

幾許作品曼荼羅

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執筆(英文):カズ・ヨネダ
編集:出原 日向子
アソシエイト:黒澤 知香

お付き合いいただきありがとうございました。
それでは、次回をお楽しみに!